リスは外来生物法に適用される?!
外来生物法の趣旨
環境省の法案提出を受け、2005年6月より施行された法律です。
正式名称を「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」といい、通称「外来生物法」または「特定外来生物被害防止法」と呼ばれています。
内容としては、既存の生態系のバランスを崩したり、人や農作物に危害を加えるおそれのある外来生物を指定し、それらを規制することによって、生態系や人や農作物を守ろうという趣旨なのです。
そのため、外来生物法に指定された動植物を日本に持ち込もうとした時、事前に届け出をして許可を得る必要があります。
また、対象になっているのは外来生物法に指定されているその動植物自身だけでなく、その種子や卵、器官も含まれています。
そして、例え許可を得て飼育をしている動物であっても、外来生物法に指定されているのであれば繁殖させてはいけません。
外来生物法とリス
中国や台湾に生息しているタイワンリスが、1935年に伊豆大島へ持ち込まれました。しかし、飼われていた公園から逃げ出し、各地に生息するようになってしまいました。
1951年にも、伊豆大島から江の島植物園に移入して飼育していましたが、台風により飼育小屋が倒壊し、タイワンリスが逃げ出してしまいました。
このようにして逃げだしたタイワンリスが各地に広がり、その結果、日本本州の在来種であるニホンリスが減少してしまいました。逆に、タイワンリスは日本に一番多く生息するリスになりました。
タイワンリスが木の皮や電線をかじったり、収穫前の果実を食べてしまうなどの、人への被害も確認されています。
このように、リスにおいても、海外から持ち込まれた個体が既存の生態系のバランスを崩してしまったり、人や農作物に被害を与えてしまうことがあるのです。タイワンリスはこういったこれまでの経緯を考慮し、2005年に施行された外来生物法により、規制対象となっています。
規制内容
外来生物法により規制対象となったリスは、以下のような点で制限があります。
・日本国内への輸入、運搬
・飼育(保管も含む)
・逃がす、放す、捨てる
・譲渡、販売
いずれも届け出て認可されている場合は可能です。
そして、認可を受け飼育する際には、マイクロチップをリスの体に埋め込んで、個体の認識ができるようにしなくてはなりません。
リスを飼育する場合、許可の有効期限は5年間で、更新も可能です。また、1年ごとに報告書も提出する必要があります。